『この世界の片隅に』心穏やかになりつつ、切ない気持ちに。

主人公の少女すずは、のんびりとした性格の少女。広島市に生まれ育ち、兄、すず、妹の三人兄妹。しっかり者の兄からはいつも鈍いと怒られてばかりだったが、実はすずは手先が器用で絵を描くのが得意だった。えんぴつが握れないほど小さくなるまで絵を夢中になって描いているような少女時代を過ごした。ある日、北条周作という青年が父親と共に呉から広島市のすずの実家に訪れる。幼少時代に、すずと一度会ったことがあり、その際に一目惚れをし、結婚を申し込みに来たのだった。すずはあまり気乗りはしていなかったものの、周りの勧めもあり、呉へと嫁ぐことを決める。嫁ぎ先の北条家では優しい父、病弱な母、周作、すずの4人で過ごしていたが、途中から周作の姉である径子が娘の晴美を連れて戻ってくる。嫁ぎ先の義実家とうまくいかず戻ってきたという。径子はすずとまさに真逆な性格で、テキパキと行動し、鈍臭いすずには絶えず小言を言っていた。しかし、娘の晴美とすずはとても仲が良く、ふたりでよく遊んでいた。戦時中のため、決して裕福な生活とは言えなかったが、晴美は軍艦が好きだったので、すずが軍艦の絵を描いてあげるなど、ささやかに楽しい生活を送っていた。次第に空襲警報も増え、呉も空襲に怯えながら防空壕に逃げ込む回数も増えていった。そんな中、義父が空襲のせいで怪我をしてしまう。すずと晴美は義父のお見舞いに病院に行くが、その帰り道にまた空襲警報が鳴る。近場の防空壕に飛び込み、すずは晴美を勇敢に守っていたが、防空壕から出た直後、埋もれていた不発弾に晴美が被弾してしまい死んでしまう。すずも、晴美と繋いでいた右手を失ってしまう。大切にしていた晴美と右手を同時に失った喪失感、晴美の母親である径子から責められる日々で、すずは死にたくなってしまう。空襲警報が鳴っても外にいたところ、周作がすずを見つけ、命がけで守ってくれる。広島の実家に帰ろう、そう思っていた頃、広島市に原爆が投下される。原爆投下から数日が経ち、広島市の様子を見るために広島市に周作と共に帰省するが、そこには変わり果てた故郷があった。そのとき、右手を失ったすずを見て、少女が母親だと思い込み近寄ってきた。すずと周作は戦争孤児になってしまった少女を引き連れて呉へと帰り、新たな生活を始めようとする。そして物語は幕を閉じる。

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