部下や後輩に仕事のやり方を教える、お客様に商品を紹介する、クライアントや社内でプレゼンをするなど、説明する機会はビジネスシーンで多々あります。しかし説明の仕方が悪いと、言いたいことが伝わらない、自分の意図と違った意味で伝わるなどの問題が生まれてしまいます。その原因となるのは、相手のレベルを考えず自分のレベルで話してしまう。自分のこだわりをそのまま発信してしまう。説明する順番が整理できていないので、思いついたところから話し出してしまう・・・・など。それを解消する方法を70項目でまとめました。また、説明力は分かりやすく伝えるだけではありません。相手を成長させたり、やる気を出させたり、動かせたりします。相手の頭に残り、心に訴えかける説明を身につけ、個人の聞き手に対しても多数の聞き手に対しても効果を発揮しましょう。講師を育成する講師が教える「分かりやすく伝える技術」。
1 説明する前にしておきたい10の準備
2 聞き手の「頭」に残る10の伝え方
3 説明下手にならないための10の注意点
4 聞き手の「感情」に訴える10のアプローチ
5 意識するだけで効果がある10の話し方
6 説明上手に見える10の立ち居振る舞い
7 説明力でこんなに変わる10の場面
・説明力とは、自分の主張を無理やり聞き手に押し込むスキルではなく、聞き手が知りたいことをより理解できるように噛み砕いて話をスキルである。
・説明の冒頭に「つかみ」として、例えば世の中を賑わすニュースや聞き手に関する話をするのが良い。
・ニュースなら「〇〇聞きました?」「びっくりしましたね!」と共感を仰げばいいし、聞き手に関しても、「今日はお会いできて嬉しい」とか「その腕時計、お洒落ですね」など、自分の気持ちを素直に話せば良い。
・聞き手同士や、話し手と聞き手の間に、何かしらの共通点や似ている所があると、人は打ち解けやすく、説明もスムーズに進みます。
・お客様のニーズを無視して提供者の都合で説明することは、熱心に説明したところでお客様に響かない。
・お客様のニーズに関して知らないことは素直に訊く。わからないことは早めに確認する。
・「今回はどのような目的でテレビをお探しですか?」
・お客様に訊くときは、答える方もハッピーになる「問いかけ」にするべき。
・「この製品をお買い上げになって、一番したいことはなんですか?
・お客様の意図さえ読み取れれば、それに寄り添うように説明すれば良い。
・説明とは「聞き手に訊くことでニーズを探り、自分が言いたいことではなく、聞き手が知りたいことを話す行為」である。
・あらかじめ結論を決めてかかるのではなく、複数の落とし所を考えておく。
・説明は旅行における交通手段みたいなものである。旅行に行く=説明をする。
・北海道に行く手段はいくつもある。一般的には飛行機だが、車でいろんな所に立ち寄りながら行くこともあれば、豪華列車に乗って優雅に向かうこともできる。北海道なら船旅という選択肢もある。
・削除すべきでない情報は、補足資料として配布するのが普通である。
・見てもらえない資料とは、見にくくて、読む気が起こらない資料である。
・見にくい資料の共通点は、情報量が多いことである。
①長文が書かれている
②図や表が1枚のスライドの中にいくつもある
③色使いが派手
④文字のフォントや大きさがバラバラ
⑤アニメーションなどの通りが凝り過ぎている
・見やすい資料とは、重要なポイントが一目でわかる資料である
①ポイントを一つに絞る:赤字の部分が重要と決めたら他の色を使わない。
②長い文章を書かない:短いキーワードを使う。できるだけ箇条書きにする。
③各スライドのタイトルを見直す:タイトルは、そのページで一番伝えたいことを、簡潔に書く。
・例えば、市場拡大を説明したいページでは、単に「市場背景」ではなく、「市場は2005年から年20%の伸び率で拡大している」と書く。
・タイトルを考える作業は、全体の構成を見直すことにつながる。
・話を3つにまとめる(人が容易く記憶できる「数」は7つ。)
・オーソドックスな説明の流れとしては「結論」→「理由(背景)」→「残っている課題」→「まとめ」
・全体像(大)を先に与えることで、聞き手の理解を促進し、かつ不安を取り除くことができる。
・(大)を先に伝えて、(小)で細かい内容に入っていくのは、説明をわかりやすくする最もシンプルな方法である。
・聞き手を「にやり」とさせる仕掛けを作る。
①聞き手の期待に応える
②聞き手の期待をいい意味で裏切る
③期待されていないときに予想外のことをする
・説明する際には、常に聞き手に合わせる。気持ちを確認する。
①「何に困ってますか?どこが不安ですか?
②「ここまではいいですか?わからないことはありませんか?」
③「何が知りたいですか?」
・常に「大丈夫ですか?」と確認をしてもらえると、聞き手は嬉しくなってあなたの説明を真剣に聞こうと思うはず。
・「聞き手が聞いてくれない」「聞き手からやたら質問される」という事態は、説明下手が引き起こす。
・説明上手は、聞き手の「なぜ?」を潰しながら説明していく。
・あらかじめ聞き手の「なぜ?」を予測して説明の中に自分なりの答えを盛り込んでいく。
・質問が出ないように、聞き手の疑問を解消しながら話を進めるのが、説明上手である。
・説明のゴールは理解した聞き手が、あなたの狙い通りに行動に出ることである。
・聞き手の感情を揺り動かすことができないと、「行動」に至らず、「理解」で終わる可能性が高い。何かしらの仕掛けが必要。
・聞き手が質問できるような余地を残して説明する。
・あえて、聞き手が気にしているであろう項目を一つだけ残して説明を終えるのもプロのテクニックである。
・質疑応答することで、説明から理解のプロセスが、話し手と聞き手の共同作業になる。
・聞き手は、自分の質問で説明が終了するので、一枚噛んだ気持ちになる。
・説明の中のここぞというときに、何度も繰り返します。何度もです。
・人が馴染みのない言葉を覚えるには、何度も耳をする必要がある。
・「今日覚えてもらうことはたった一つ、「無料」であることだ」
・「今日はたった一つ、これだけ覚えて帰ってください」という言い方でキーワードを連呼する。
・わかりづらい内容を、別の身近なモノゴトに置き換えてわかりやすく表現する。
・広さを表現するときに「東京ドーム何個分」と言ったりする。
・相手のボケに「それはまるで〜だな」と上手い言葉で切り返す。
・聞き手を啓蒙したり、自分たちのテリトリーに招き入れたいときは、あえて専門用語を使って、興味を持たせたり、馴染ませる。
・「この商品を使うときは、耳慣れないこの言葉○○(専門用語)もぜひ一緒に覚えてください。この言葉を自然に使いこなせるようになれば、あなたはもう一人前です」
・具体的に説明する一番簡単な方法は、数字を入れること。
・重要なのは、自分をコントロールすること。そして聞き手に花を持たせてあげること。
・話がつまらないと感じるのは、「話し手が聞き手のことを分かろうとしない」とき。
・開聴とは「相手の話を他者とシェアをしながら聞く」こと。
・例えば、質問してくれた人に「なるほど確か面白い意見ですね。」と切り返すとき、その人だけでなく、身体を開くように他の人も見ながら行う。一人に対する同意のみならず、その場にいる人と共感を得るために相槌を打つ。
・「さすがにいい意見をお持ちですね。〇〇さん、あなたもそう思いませんか?」と特定の他者に同意を求めても良い。
・自分の意見が大勢に伝わることで嬉しい気持ちになると同時に、下手なことは言えないという自覚が生まれ、前向きで有意義な意見を言うようになる。
・話し手は、聞き手が感じてい「無意識の距離」を縮めることが重要である。
・一緒に協力し合う存在として、聞き手を認識する。
・彼らと真摯に向き合い、話をよく聞いてあげる。
・質問に答えられているうちは良いですが、そうじゃなくなると、だんだん気分が悪くなるのでクイズは出さない。
・もしあなたが、やるべきことは全部やったと心から思えたら、「準備不足でした」とは言わない。
・どんなに話し上手でも、経験豊富でも、最初の立ち上がりは綿密に設計して臨む。
・先ほど言ったことを繰り返すのは、構成をしっかり考えていないからである。
・ここではっきり伝えたい、と言う箇所はマーカーで線を引くのも良い。
・本番までの間、何度も声に出して練習する。これらの準備をしっかり行うかどうかで、本番の出来が大きく変わる。
・説明上手な人は、どんなに得意な話でも、本番前に必ずリハーサルをする。
・失敗談は共感を得やすいが、立ち直った話を添えて終わらせる。
・聞き手がどんな答えを出そうと、「ありがとうございます」と全てにお礼をする。
・聞き手がどこを認めて欲しいかを察知し、共感してあげる。
・良い質問だった場合は、「鋭い視点です」「それはぜひ、全員で共有しましょう」「どのようにそのお考えに至ったのか気になります。」などが適切。
・良い質問でなかった場合、「とてもユニークな考えですね」「先陣を切って発言していただき、ありがとうございました」など、質問という行為を褒める。
・ロジカルだけでは不十分で、エモーショナルでなければ聞き手の気持ちを動かすことはできない。
・「聞き手の名前を呼ぶこと」
・相手の考えを変えようとせず、好きにさせれば、思いもよらない意見や見えなかったニーズが出てくることもある。
・喜怒哀楽をちょっと大袈裟に表現する。
・聞き手に近寄り、軽く触れる。
・冒頭に挨拶したあと、一呼吸をおく。
・聞き取りやすい上に、軽快でノリがいい、それが「好かれる早口」
・軽快に話しているときに、重要なところでゆっくり話す。聞き手に考える時間を差し上げる。
・「だから」「しかし」「さて」「ところで」は少し音を伸ばしたりして目立たせる。
・一つの説明の中に、「要は」が3回も出てくるようなら、それはもう全然まとめられていない。
・断る説明の際に最も重要のなのは、礼を尽くすこと。
「今回はこういう結果になりましたが、ご提案の中の○○の部分はとてもいいアイディアだと思いました。今後もぜひ素晴らしいお話を聞かせていただければと思います。ありがとうございました。」