DXとは
DXとはデジタル技術でビジネスモデルや働き方を変えること。
DXの「X」はtransferを意味する。
データとデジタル技術で業務の仕組み、サービス、事業モデルを新しく変えてユーザーの不満や課題を解消する。
それによりこれまで提供できなかった利便性を提供する。
①ユーザーに新しい価値を生む。
②デジタル技術で課題解決。
③トップが経営の変革をリードする。
④事業モデルを変革する。
⑤業界を横断して実践する。
DXはITと経営の一体化で実現する。
DXは業務改善ではなく、「変革」が目的。
2025年の崖
1.多くの企業において既存システムは限界
既存システムのままではDXを推進する上で障壁になる。
2.2025年までにシステム刷新が必要
システム刷新をしないと最大12兆円の経済損失が発生する可能性がある。
古いシステムを使い続ける企業に未来はない。
本著の概要
DXの本質はデジタル技術と合理的マネジメントを融合することで、
攻めのDXと守りのDXの2種類がある。
本書は、現KADOKAWAの執行役員ドワンゴの本部長である著者が
楽天やMicrosoft、AWSなどの先進的な企業で働いた経験から、
どうすれば世界の名だたる企業のように、
日本企業もDXを進めることができるのか、
について書かれている本である。
DXに必要なもの
1.DXを推進するためには、GAFAな働き方が必須である。
①企業文化や行動規範が明文化されている
現場と経営層で意見の食い違いがないか、仕事をする際に、社員一人一人に立ち返る軸があるかどうか
②仕事の役割が明確に設計されている。
自分はどんな職種かを明確に定義できているか、その職務内容は、会社の外でも活躍できるスキルかどうか
③コミュニケーションが最適化されている
人が多く時間を割いているコミュニケーションの取り方に無駄がないか、行き当たりばったりではなく、明確にこの時はこうする、などの最適化が図られているかどうか
④実力主義で多様性がある
成果主義と異なり、実力主義という言葉が重要。成果は運もあり、水物。したがって成果と実力を分けた。正当な評価をつけることができているか
⑤KPIやOKRがクリア(目標設定が明確と言うこと)
ゴールと、ゴールまでの道筋が明確になっているか。部下の目標を積み上げると上司の目標になり、その積み上げが会社のゴールになるように設計できているか。
2.DX成功の指標
DXで成し遂げたいゴールを決める。DXを推進するぞ!と意気込んでみたものの、結局何をしたらゴールなのかが曖昧になりがちである。
DXの本質は、「社内外の仕事をデジタル技術を活用して、品質、スピードを最大化し、なおかつコストを下げた上で、コストパフォーマンスを最大化にあること」になる。
つまり「デジタルビジネスを一つ成功させた!」とか、「業務の自動化を一つ実行した」と言うのは本質的なDXではない。
これらを踏まえた上で、自社におけるDXのゴールは何か?を明確に定義する。
3.仕事の属人化をなくし、業務の標準化をする
後任にどんな人が来ても、成功をし続けることができるかどうかが、そして仕事のやり方や進め方など、全て標準化して引き継ぐことができるかがポイント。
自分がいるからこの業務が成り立つと言うことではなく、この業務の標準化が最も会社にとっては大事である。
その業務を自身が一生実施するわけではないので、会社が持続的に成長し続けるためには、誰が担当しても、継続して成功するような仕組みを作ることが最も大事である。
この標準化はDXに必要なスピード向上とコスト削減にもつながる。
標準化することで、その業務はデータとして統一のフォーマットとして落とし込みができるとう言うこと。そしてそのデータがあれば、AIを活用した自動化をすることができる。
例えば、商品発注担当のあなたの仕事が属人化したままだと、「経験則」と言うデータに置き換えることができない仕組みで仕事をすることになり、このままでは、あなたが異動した時点で、その業務による知見は無くなってしまう。これが標準化することができれば、商品Aは残り120個になった時点で発注する。商品Bは残り150個になった場合か、金曜の時点で200個だった場合に発注する。
このように自動化できるような仕組みを作ることができる。そうするともはや仕事は「人」に頼る必要はなく、コストを削減しつつ、発注精度もスピードも向上していく。
これはDXの一部ではあるが、このように仕事の属人かをなくし、標準化を進めることで、本当のDXを進めることができる。
攻めのDXと守りのDX
1.攻めのDXは「売上や利益を狙うためのデジタル投資のこと」
①デジタルマーケティング
②デジタルサブスクリプションサービス
③個別課金によるデジタルサービス
④ECのような仕組み
⑤LTVを高めるプラットフォーム作る(Life Time Value=顧客生涯価値)
上記⑤は、要するに一人の顧客がその企業と取引を始めて、終了するまでにどれだけの利益をもたらしたかと言うこと。この考え方で日本最強なのが「楽天経済圏」と言うプラットフォームである。楽天グループというプラットフォームで買い物をすればするほど、顧客は得をできるし、楽天に対する「顧客生涯価値」が上昇し続ける仕組みになる。
2.守りのDXは「会社の生産性をあげ、それによって下がった費用を攻めのDXにや再度守りのDXに再投資すること」
①生産性を高める各種アプリケーション
メールやチャットツール、オンライン会議ツールなど効果的なコミュニケーションの導入
②バックオフィスのデジタル化
コーポレート部門の業務内容のデジタル化
③リアル施設のデジタルによる効率化
無人レジやデジタルサイネージなどリアル店舗でのデジタル活用のこと
④従業員に向けたエッジデバイス
パソコン、スマホ、タブレット等の導入
⑤仕事に利用するネットワークインフラ
リモートワークをする上で必要な通信環境の整備
このように守りのDXでは主に生産性関係の内容を扱っている。
守りのDXを推進することによって、下がったコストを活用し、攻めのDXである売上拡大への投資をすることがDX推進の王道である。