ファイナンシャルプランナー・井上健哉氏が、『一流の「話し方」全技術』と題して、仕事の実績は話し方に左右されると提起し、磨くほど効果に直結する「話し方」の技術を解説する一冊。
第1章 自己流の話し方をリセットする
1.下手な話し方を分析する
話し方一つで人生は大きく変わる
2.自分の話し方を浮き彫りにする
自撮り動画で自分を客観視する
3.「話がうまい」は褒め言葉とは限らない
「話がうまい」の定義は誠実さとわかりやすさ
4.「話しこなし」を目指す
話しこなすポイントは、基本の徹底とコーディネート力
5.「ホスピタリティマインド」を持つ
相手(人)をよく観続ける
6.「先読みできる力」をつける口ぐせ
「ということは」を口癖にする
7.一流人とは「慮れる人」
その言葉の背景にある本当に伝えたいことは、どんな気持ちなのかを慮る必要がある
例:
◯ 良いアポイントの取り方は要件を先に言うこと
✖️悪いアポイントの取り方は空いているかどうかを先に聞くこと
「慮る」とは、相手のことを想像すること
8.「この人の話しを聞きたい」は話す入口で決まっている
「ESSの極意」(Eye contact Smile Silence)
①目を合わす
②軽い笑顔で会釈する
③話のなかで沈黙を操る
言葉が役立たない時には、純粋に真摯な沈黙がしばしば人を説得する(シェイクスピア)。
一流人は話す前に近寄りやすい雰囲気作りや、会話の糸口を作るなど、下ごしらえをキチンとしている。
話しも料理も下ごしらえが要。
9.「話し方に「感情」をのせる
実際に話す内容をメモしてみて、それを朗読するのも良いし、小説の一部を朗読してみるのも良い。
一流人に必要なのは、思いや感情が伝わる、『伝導力』である。
伝導力は、脱『照れ』から
第2章 話し方のベースを作る
1.「伝える」と「伝わる」は違う
あなたの仕事は「伝えること」ではない。相手に「伝わること」があなたの仕事である。
「伝わる」とは言い換えれば、「通じる」こと。
相手に正しく伝わる(通じる)ためには、私たちも、これらバックグランド(年代、性差、常識などのさまざまな違い)を考えて、「通じる」を意識したいものである。
2.「なぜそう言うのか」を想像し話をする
会話は共通の話を交わすこと
対話は相手がなぜ、そう言うのかを理解しようと努めて話を交わすこと
相手が直接話した言葉よりも、なぜそう言うのか、想像し、話をすることが大切である。
相手が「何を(WHAT)言ったかではなく、なぜ(WHY)言ったかを考えて答えるようにする。
ヒアリング(HEARING)=聴く力よりも、インサイト(INSIGHT)=見抜く力が必要。
3.「1字の重み」を知る
日本語の「一文字」は劇薬である。それゆえに、使い方を間違えると大変なことになる。
「が」は是非ですが、「で」は妥協。一流人は「が」を使う。
例:
◯「あなたがいい」
✖️「あなたでいい」
「も」は包括だが、「は」は限定。
例:
◯「今日もありがとうございました」
✖️「今日はありがとうございます」
◯「やってみます」
✖️「やってはみます」
◯「いいですよ」
✖️「いいですけど」
◯「できました」
✖️「しておきました」
4.説明は「腹八分目」で終わらせ る
説明するときに大切なのは、「何のための説明か?」ということ
説明(商談)とは目的のある対話である
5.作家に学ぶ!「関心を引く」話の3要素
難しいことは易しく、易しいことを深く、深いことを面白く(井上ひさし)
人に興味、関心を持ち続けてもらうために最も必要なことは「エンターテイメント性」である。
6.シンプルイズベスト 時には直接(ダイレクト)に切り込む
例:
間接的「お似合いです」「着やすそうですね」「一着あると便利ですよ」
直接的「これは買いです」「これ、ぜひ着てみてください」
間接と直接の使い分けは、「選択肢の有無」が鍵である。
選択肢がない(決定事項)時は、少しでも早くかつ、必ず「代替案」を一緒に提示すること。
言いにくいことほど早く伝え、「代替案」を添えることが大事。
7.SVCかSVOで軸を作れ
ポイントは書くように話すことである。
①主語述語を省略しない。
②要は何が言いたいのか(結論が先、副詞句は後)
③時間軸を通す(過去→現在→未来)
④具体的に話す(抽象的表現を避ける)
⑤5W1Hで話す(特に、何が、いつ、どこで)
全く相手が知らない前提で話す。
8.ストーリー性とは「つかみ」「なかみ」「おち」である
一流人こそ、場作りたる、「空気と温度」を重要視している。
皆で協力して成し遂げよう、同じ時間を楽しもうなど、大きな共通点を限定してベクトルを合わす。
9.話す順番は「信念」「取組」「成果」
大切なのは話す順番と優先順位である。
例:
①(信念)私たちの使命は、皆様の生活を劇的変える存在になることです。
②(取組)そのため、感動的に美しいデザインと簡単な操作の両立を試みました。
③(成果)そしてここに、夢のような一台が完成しました。iPhoneです。
人には「成果」や「取組」よりも、「信念」に心動かされる面がある。
自分が信じていることや大切にしたいことを知ってもらう方が、はるかに共感が生まれやすい。
10.「悪い話ファースト」を目指す
最初に悪い報告、最後に良い報告、この順番がベストである。
例:
「二つ報告したいことがあります。一つ目は悪い報告です。・・・・」
最終的に「心の良い印象が残ったかどうか」で、全体の印象が判断されている。
第3章 共感を引き出す話し方
1.「共感」を演出する
話をする際に「共感」は欠かせないものと心得る
2.相手の「心の声」を口にする
軽い話題やポジティブな話がおすすめです。
確実なのは、気候全般の話題で、「暑い」「寒い」を口にすることである。
相手に対して「イエス」を答え続ける、共感を繰り返すと、一貫性を崩したくないので、「ノー」と言いたくなくなる心理が動く。
事実(決定)事項について再確認する
例:
「今日の終了は3時でしたよね?」「お住まいは〇〇市でしたよね?」
「年末年始はハワイに行かれたんですよね?」
クローズド・クエスチョン(イエス・ノーで答えられる質問)に絞る
例:
「お久しぶりですね」「〇〇(相手の好きな俳優)さん、また主役の映画できましね。」
相手の身につけているものや持ち物を褒める
例:
「使いやすそうなカバンですね」「いい色のワンピースですね」
相手から「そうなのよ」を3セット取る。
3.プロほどあまり話さない 聞くが6 話すが4
「相手に何か質問や話題を投げて、その回答をしっかり聞いてあげている流れ」にする。
相手のことを知らなければ、共感も何も始まらない。
一流人は会話の中で、上手く相手の価値観や考えていることを知ろうと考えているのである。
実は、一流の話し方を支えるものは、一流の「キャッチング:だと言っても過言ではない。
一流人が大事にしているのは次の二つである。
①相手をピッチャー役として気持ちよく話をさせ、それをしっかり受け止めること。
②話を聞いていきながら話をリードしていくこと
4.相手が知っているものとして敬意を表する
クッション詞(例えば「ご存知の通り」)が口調をマイルドにする。
5.豊かさが伝わる一言を足す
常日頃から、豊かさが伝わる一言を足すことを心掛けるようにする。
例:
「ありがとうございます」→「いつもありがとうございます」
「ありがとうございます」→「ありがとうございます、勉強になりました」
「美味しかったです」→「どれもホントに美味しかったです」
「お疲れ様です」→「暑い中、お疲れ様です」
「いらっしゃいませ」→「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
「お気をつけて」→「夕刻で皆先を急ぐ時ですから、お気をつけて」
短くても良い。ほんの一言を足すだけで、よく相手に気持ちが伝えられ、潤いに満ちたコミュニケーションになる。
6.「聞き上手」になれる手っ取り早い方法
おねだりの極意は「それで、それで?」。
聞き上手はおねだり上手。
7.「共感」を呼ぶか「反感」を買うかはほんの少しの差
相槌を打つときに「そうなんですね」は共感が滲みますが、「そうなんですか」は反感を醸すことがある。
例:
◯「お急ぎですね」 ✖️「お急ぎですか」
◯「手伝います」 ✖️「手伝いましょうか」
◯「席変わります」 ✖️「席変わりましょうか」
相手に尋ねるより、一方的に差し出す方がスマートである。
心の声は一語に表れる。
8.重ねて「強さ」を出す
言葉を重ねて強さを出す、おすすめの使い道は、書き言葉、つまり、お手紙やメールである。
例:
「すごくすごく嬉しいです」
「本当に本当にありがとうございます」
「ご協力いただきまして、感謝感謝です」
言葉の厚着で心が温かくなる。
第4章 ロジカルトーキングを身につける
1.主導権を持てる対話の仕方
主導権を持てる対話の仕方はズバリ、MCを行うことである。
客観視こそ、MCの真髄。
2.人が動く「4つの力」
人が気になって、動くには明快な理由がある。
①危機感
②効果
③意味
④ビジョン(未来像)
大切なのは、動いた結果、どんな気持ちになるか、である。
危機感を煽る話し方「しないと大変」より、「すると安心」で話す方がお客様は気持ち良い。
人を動かしたければ、危機感を煽るのではなく、効果・意味・ビジョンを語ることである。
3.「マトリクス」で表現するExcel的話法
対比化し、チャート化すると一目瞭然になる。
何かを伝える時、対比できるように行列(縦横のセル)をイメージする。
例えば男性/女性、未婚/既婚という具合である。
4.言葉や言い回しを統一する
家族や友人、職場で誰かと会話する時、理由なく、言葉や言い回しを変えずに統一することが大事。
むやみに変えるのは、混乱の因である。
例:
「会議はお昼からを予定します」から「ミーティングは午後からにします」に変更
「お昼から」と「午後から」→12時頃か13時頃か14時以降か迷いが生じる
「を予定します」と「にします」→当初13時頃予定が変更され、遅くなるように感じる。
5.大切なところは何度も繰り返す
記憶して欲しい、相手の心に残したいことを、短い「キーワード」にして、随所に挟んで話をする。
「エビングハウスの忘却曲線」によると、20分後には42%、60分後には56%、1日後には66%、一ヶ月後には79%を忘れる。
短期記憶では1日で一気に約7割が忘れ去られ、その後、1か月経過後でもほとんど変わらない。
記憶は、記憶→忘却→再記憶を繰り返すと、長期記憶として定着しやすい。
1日経ち、ほぼ忘れた頃に、再記憶のアクションを起こす。
ご縁を繋ぎたい出会いや大切な商談などの翌日に、SMSを一本入れてみる。
6.反対意見は「心の声」をそえて伝える
ロジカルトーキングを身につけるために、英語的発想は役に立つ。
I think〜は、あえて「私は〜と考えます」と訳すものではなく、意見を述べる時の「私的には」という「心の声」である。
「私的に」で始めると「あなたの意見も尊重します」というメッセージも隠されているため、押し付けがましく聞こえない。
相手に事実などを伝えるときは、基本的に主観を入れずに伝える。
意見や主観を入れたいときは、必ず、I think〜や I’m afraid〜で「私的には」と断りを入れる。
相手への尊重がない意見や主張は成立していないのと同じである。
7.話を短くする「フレーズ」を使う
話が長くなる原因は、結論を先に言わないことである。
「一言で言うと」が結論を端的に伝える際、便利に使えるフレーズである。
シンプルさは究極の洗練である(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
シンプルに考えるから、シンプルに答えが出て、シンプルに話ができる。
要約するクセをつける。
8.新聞のヘッドラインに学ぶ
書き言葉なら13文字で書く。話し言葉なら13秒(約60文字)で話す。
13に拘って、言いたいことや伝えたいことをまとめてみる。
話す前にまとめることで要約力がつき、何より端的に話す習慣がつく。
ブリーフィング(briefing=簡単な状況説明)を磨く。
9.「数値のマジック」で信憑性が格段に上がる=ひと手間
数値を入れると信憑性は格段に上がる。
ひと手間を惜しんではいけない。そのひと手間によって話が伝わることもある。
あなたの話の信憑性はあなたの信憑性を作る。
数字がものを言う。
10.「アンカリング」を意識する
「アンカリング効果」とは、最初に印象的な情報や数値を与えると、それが基準点(アンカー)となって、その後の判断や意思決定に影響を及ぼす効果である。
例:
メーカー希望小売価格 99,800円
当店平常価格 79800円
本日5台限り特価 49,800円
第5章 人を動かすための「話しの流れ」を身につける
1.「リーディング」で相手をさり気なくある方向に導く
偶然を装うこと、運が良いことを強調することだったり、お得意感だったり。
例:
夫は中華が好物、妻はイタリアンが好物であるという設定「多分、この辺りに中華の超人気店〇〇があるのだけど、ネットの書き込みでは、なかなか行列に入れないみたい。多分無理だと思うけど、一応前まで行ってみない?」
どうすれば自分の意に沿う判断をしてくれるか、を考えて話すのが大事である。
損失回避性によると、人は得することより、損をすることに敏感な動物である。(逃した魚は大きい)
leadingできる人をleaderと言う。
2.「マッピング」でゴールを見せる
相手に何かの話を伝えたい時、オリエンテーリングと同じく、マッピングが重要な役割を果たす。
まず全体像を示す、マッピングが大変効果的である。
マッピングのコツは、スタート位置を確認した上で、ゴールからの逆算である。
最終ゴールはこうです。そのために逆算すると、いつまでにこれを・・・と言う具合である。
3.「先手必勝」で話の流れを作る
人とのコミュニケーションは、初対面の者同士なら、最初に挨拶した者が場運びの優先権(サーブ権)を持てるため有利である。
特にどこに座るか(ポジショニング)は大事である。
ポイントは、相手と正面に向き合わずに座ること(できれば隣合わせ)と自分の左側(心臓側)に相手を座らせることである。
4.あえて「逆立ちトーク」で立場逆のことを言う
相手の警戒心を下げない限り、あなたの話をしっかり聞こうと思わない。
本来の売る側が、逆の立場で買う側の目線で考えて話しています。
例:
「井上さん、このネクタイ、確かにセールで半額は、またとないチャンスですが、井上さんのイメージじゃないでしょう。使わないかもしれないもの買うのは、ただの無駄使いです。これはやめておきましょう」
こんな身内のような提案をする担当者がいるからこそ、その店が心地よく、行きつけになったかもしれません。
5.You、I、Weを使い分ける
コーチングで有名なのは以下であるが、おすすめはIメッセージとWEメッセージである。
① YOUメッセージ→評価の気持ちが生まれる。「あなたは〇〇だ」
例:
「あなた、一位ですか、それはすごいですね」
② Iメッセージ→言われた側が否定しようがない「私は〇〇と感じています」
例:
「一位おめでとうございます、私感動しました。」
③ WEメッセージ→Iよりも多い、複数人の評価「皆が〇〇を感じています。」
例:
「一位、おめでとうございます。僕らのヒーローですよ。」
褒められても、YOU→ I →WEの順に受け入れやすい。
「すごいですね」より、「どうしてそんなすごいのですか?」のように疑問文を使うと効果的である。
6.マジカルナンバー「3」にこだわる
「マジカルナンバー4±1」は人間が瞬間的に覚えられる数の限界を指す。
伝えたいことは3つまで絞り、最初に「大事なのは3つです」と伝えることである。
バカな奴は単純なことを複雑に考える。普通の奴は複雑なことを複雑に考える。賢い奴は複雑なことを単純に考える。(稲盛和夫)
7.説得力が格段に上がる!「ホールパート法」の使い方
最初に結論=全体像がわかっていて、その根拠(エビデンス)で裏付けをとる手法。
部分は全体があってはじめて意味を持つ(ピーター・ドラッカー)
わかりやすさとは、三つに纏める編集力と翻訳力である。
①相手に伝えたい結論=全体像(WHOLE)を最初に提示
②それについての詳細=部分(PART)を説明
③もう一度、結論=全体(WHOLE)に戻り、話を締める。
8.「間」をコントロールする
沈黙の間は、目で話を続けてください。口を閉じていても目は開いている。
目で話し続ければ、相手は不安に思わない。わざと意識的に「間」とわかるから。
相手との関係で作るものが「沈黙」で、こちらが意識的に作るのが「間」である。
日本の伝統芸能、能楽の舞台はまさに、「間」「間」「間」の連続である。
芸を生かすも殺すも、「せぬ隙」の存在。
「間抜け」と言う言葉があるとように、間がないことは、よろしくないことである。
ノイズはいらない。いるのは静かな「間」である。
9.「前提力」で自分で決めた感を与える
例:
◯の場合
ホール「デザートはいかがですか?」
お客様「せっかくだけど、結構です」
✖️の場合
ホール「デザートにフルーツかケーキはいかがですか?」
お客様「ありがとう。では、ケーキをいただこうかな」
「ダブルバインド(二重拘束)」イメージした話し方の具体例
例:
仕事上で、久しぶりに会った人に「以前に、名刺交換してましたよね」
→相手、過去に名刺交換した覚えがない場合でも、一度交換した前提となり、失礼なく名刺交換がしやすくなる。
職場で仕事をお願いする時、「これ、今日言って、今日は無理だよね?」
→受けてもらうことを前提に、今日か後日かの二択になる。
家電量販店で「甲乙つけがたいが、値段に合うものなら、AよりBですね」
→どちらかの購入決定に至りやする(買わない選択が減る)。
お友達が遊びに来て、「コーヒーがいい?紅茶がいい?」
→「何か飲む?」聞かれるより、お茶を出してもらうことが前提なので、遠慮なく答えやすくなる。
第6章 人を動かすための「テクニカルトーキング」を身につける
1.常連と認識していることを「たった一語」で伝える
たった一語の「あ」が活きる。「あ」をつけるだけで、お客様にはこちらが常連と認識していることを瞬時に伝えられる。
例:
お店の人 A「いらっしゃいませ」
お店の人 B「あ、いらっしゃいませ」
一流人は、一語の重みを知っている。たった一語で伝わる表現にはこだわる。
2.「イエス・クエスチョン」で話す
反論する相手の意見をかわし、自分の意見を通すやり方である。
意見を通す理由が、あなたのためではなく、相手のためである(になる)ことが全てである。
相手との永続的な関係を築きたいのであれば、しっかりとした軸を持つ。
「相手に自ら考えてもらうことで、現状の問題点を思い出したり、提案を受け入れた場合の効果に気付いたりと、YESの方向にむかって進み始める。
例:
①イエス・バット
お客様「値段がちょっと高いなぁ」
営業 「ですよね、ですが、お値段以上の満足を頂けると思うのですが」
お客様「そうかもしれないけど」
②イエス・クエスチョン
お客様「値段がちょっと高いなぁ」
営業 「ですよね」「ところで、お客様の今お使いのテレビは、いつ買われたのですか?」
お客様「うちのは、結婚した時だから、もう10年になりますね」
営業 「と言うことは、4Kテレビが出てすぐ、手に入れられたのですね」
オープンクエスチョンとは5W1Hを使った質問の仕方のことで自由度の高い回答を導くことができる。
質問には「ですよね、ところで〜?」を使ってみる。
3.「フットインザドア」を相手のために使う
小ざかしい駆け引きより、潔い勇気である。
例えば、仕事であれ、習い事、音楽、スポーツなどで相手を指導する時、簡単なことからはじめて、だんだん難易度をあげていく。極めて自然な進め方である。
4.「コントラスト効果」で理解を促す
ドアインフェイス(譲歩的要請法)とは大きな要請からはじめ、だんだん小さな要請に下げていく方法である。
例えばセールスシーンであれば、定価から少しづつディスカウントしていく方法である。
一流人は、その発展形である「コントラスト効果」を使う。比較対象があることで「より〜だ」と言う相対評価を作る。
例:
最初にドーンと高いものを見てもらう(または目につくところに置く)。100万円のテレビ、1,000万円の車が目に入る。そのあと30万円のテレビ、400万の車を見る。
5.WHYよりWHATで話す
WHY修飾するのは人(人が対象物)
WHATが修飾するのは物(物=事実が対象物)
例:
「(WHY)なぜ、あなた(人が対象物)はミスしたの?」
「(WHAT)ミスの原因は何(物=事実が対象物)なの?」
人を責めるな、仕組みを責めろ(トヨタ自動車の家訓)
6.効果的に「小声で囁く」
Twitter(つぶやき)よりもWhisper(ささやき)が効く。
7.「あえて未完成」で相手を引きつける
未完成なほど、記憶に強く刻まれる心理のことである。
例:
「今、少しいいですか?・・・あっ、やっぱり結構です。すいません」
「ちょっと、お願いがあるんです。・・・ごめんなさい、忘れてください」
未完成という魔力。
8.余計な感情を与えない「受身形話法」
物主構文(無生物主語構文)を使うメリットは大きく二つである。
①言いたいことを簡潔に伝えることができること
②感情を介在させないで済むこと
例:
◯「間もなく、ドアが閉まります」
✖️「間もなく(私が)ドアを閉めます。」
◯「お店は10時で閉まります」
✖️「お店は10時で閉めます」
物のせいにすると、角がたたない。
9.納得感の高い話し方には「過去」がある
過去を起点に話を始める、たったそれだけで、納得感のある話になる。
話し方で、最も失敗しやすいのは、今を起点に未来を話すことである。
エビデンス(証拠・根拠)の上に未来をのせる。
第7章 忘れてはならない話す心構え
1.言葉は言い切る
断定形が心地よい。
自信のないことは、きっぱり「わかりません。確認して回答します」
知っていること、自信のないこと、知らないことを仕分けして、相手に伝えることで、話し全体の信頼性を損なわずに済む。
2.相手が書いている時は話さない
シンクロ(同期)がラポール(信頼)を得る。
3.アップルのコールセンターに学ぶ仕事の姿勢
例:
「お客様、今時、スマホは体の一部です。お仕事のご連絡など、さぞ、ご不安なこと、お気持ち、お察しします。しかし、もうご安心ください。私〇〇が、解決するまでとことんサポートさせていただきます。それでは最後まで、どうぞよろしくお願い致します。
まず、気持ちのクールダウンが先である。
不安な気持ちを理解して、もう「大丈夫」と安心感を与えてくれたこと、仕事の姿勢を見せたこと。
4.「中間報告」の心得
売る側の日常は、買う側の非日常である。
本来待たされて「イライラ」するところが、「ワクワク」に変わる。
「ある1日を他の毎日とは違うものにすること、あるひと時を、他の時間とは違うものにすること」
知らせてあげることで、その日までを、楽しみに変えられる。
5.確実に拾う
一流人は名ショートでなければならない。
一流人は、誰とのほんの些細な会話でも、確実に拾って、相手に返すことを徹底している。
バックトラッキング(オウム返し)は、相手にとって聞きやすく、安心感をもたらす効果がある。
6.名刺交換のコツ
過去を知らない者同士が分かり合う第一歩は、名刺の内容を話題の共通点にする。
7.「ちゃん」「君」より「さん」を使う
敬意を表す端的な例が敬称である。
8.クイックレスポンスを実現するSMSの使い方
「メールいただきました。内容確認いたします」
クイックリスポンスは10倍の価値がある。
9.一流が絶対に口にしない3つの表現
一流人に共通しているのは「包容」。
一流人は以下の言葉を言わない。
どうしたら伝わるのか、どうすれば満足してくれるのか、話し方の流暢さの差はあれど、「心底なんとかしてあげたい」と思う、口から出てくる言葉に私たちは心動かされている。
①知りません
②わかりません
③できません
なんとかしてあげるというマインドを持とう。