監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。
FBI捜査官を演じるエミリー・ブラント。
正体不明のコロンビア人を演じるベニチオ・デル・トロ。
麻薬と汚職が蔓延する国境無法地帯での攻防を、
極限の臨場感で描いたサスペンスアクション。
メキシコの麻薬カルテルを殲滅するため、
米国防総省特別部隊に抜擢されたFBI捜査官ケイトは、
謎のコロンビア人のアレハンドロとともに
麻薬組織撲滅の極秘作戦に参加する。
常軌を逸した作戦内容や、
人の命が簡単に失われていく現場に直面し、
ケイトの中で善と悪の境界が揺らいでいく。
物語はファレス市にフォーカスが当たっている。
本作の公開に先立って、フアレス市の市長は
本作のボイコットを市民に呼び掛けたようだ。
映画における暴力事件の描写は過去の物である。
それが市長の言い分だ。
この描写がリアルということを知り衝撃だった。
そんな背景がある映画なので、
麻薬戦争という僕の知らない世界があることに驚く。
メキシコとはそこまで危険な国なのか。
現在アメリカ国内に流入する外国製麻薬の70 %が
メキシコの麻薬カルテルの支配下にあるようだ。
メキシコ-アメリカ間の国境を挟んだ密輸は、
19世紀から日常的に行われていた。
国境は障害というよりそれがあるからこそ人が集まり
経済や制度の違いを利用して利益を得るための「資源」だった。
1920年代のアメリカの禁酒法時代には、
アルコールが国境の川やフェンスを越えて運ばれた。
1930年代に禁酒法がなくなると、
こんどはヘロインやマリワナが運ばれるようになる。
1960年代、ベトナム戦争と北米ヒッピーの時代に
マリワナの需要が高まる。
1970年代、アメリカが豊かになりコカインが主流に。
1980年代までは国境を挟んだ親族や知人を通じた
家内産業的な小規模で比較的のどかなものだった。
しかし1990年代後半以降、密輸の規模が大きくなり、
手段も洗練されたものになるに従い、
暴力的な面がさらにエスカレートしてくる。
映画そのものはそこまで面白いものではなかった。
しかし麻薬戦争の歴史を知るきっかけになった。
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